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有価証券報告書情報を使った企業研究まとめ|就活生・転職者の企業研究

就活生・転職者が必ず知っておきたい監査報告書の見方

   

Edinetから有価証券報告書を検索すると、監査報告書という資料が添付されています。

これは有価証券報告書の決算情報に対して、第三者である監査人が作成した報告書です。

この中にある「強調事項」と呼ばれる箇所は監査人からのメッセージが記載されています

会社の監査を担当した監査人が重要項目を教えてくれているわけですから、これを利用しない手はありません。

就活生・転職者にとっては、希望する会社の安定性に問題がないかどうかを確認できるツールですので、必ずチェックして下さい。

また、監査報告書はページ数が1~3ページと非常に少なく、フォーマットが定型化されているため、簡単に内容をチェックできます。

 

監査報告書の入手方法

EDINETより監査報告書を入手する方法から紹介します。

まず、下記の記事を参考にEDINETから希望する会社の有価証券報告書を開いて下さい。

有価証券報告書の入手方法

次に、有価証券報告書が表示されたページの上部に、監査報告書のタグがありますのでここをクリックします。

<例:東映アニメーション 平成26年3月期 有価証券報告書>

how-to-obtain-audit-report

監査報告書のページに移りますので、 左のメニューから「当期連結財務諸表に対する監査報告書」をクリックします。

すると、下記の通り、監査報告書を開くことができます。

<例:東映アニメーション 平成26年3月期 当期連結財務諸表に対する監査報告書>

auditreport

 

監査報告書でチェックすべき点

監査報告書は定型フォーマットですので、チェックすべき点はあらかじめ決まっています。

 監査報告書のフォーマット

監査報告書は下記フォーマットで構成されており、段落毎に以下の内容が記載されています。

 

<財務諸表監査>:会社の決算情報が正しいかどうかを証明したもの
段落1:監査の対象
段落2:経営者の責任
段落3:監査人の責任
段落4:監査意見
段落5:強調事項(ない場合もある)

<内部統制監査>:会社の内部統制報告書(会社が正しい決算書を作る体制に関する報告書)に問題がないかどうかを証明したもの
段落1:監査の対象
段落2:経営者の責任
段落3:監査人の責任
段落4:監査意見
段落5:強調事項(ない場合もある)

その他:利害関係等

 

このうち、就活生や転職者が見るべきポイントは上記でハイライトした、「監査意見」と「強調事項」部分のみです。

 

監査意見部分の見方

監査意見部分には、その名の通り、監査人の意見が書かれています。ここは滅多な事がない限り、会社の決算情報や内部統制報告書が正しいと書かれています(適正意見と呼ばれます)。ほんの数秒だけ「監査意見」部分を見て下さい。そこのタイトルが「監査意見」と書いてあればそれでOKです。監査人からは適正意見が与えられています。

 

万が一、「不適正意見」やら「限定付適正意見」やら「意見不表明」という言葉がタイトルに含まれていたら、監査人から適正意見がもらえていないということになります。この場合、その理由にもよりますが、要注意の会社だと思って下さい。

 

ただし、私が調べた限り、直近1年ではその様な会社は数件あるのみで、上場会社では0件です(不適正意見や意見不表明の場合、上場廃止になることもあるため)。

 

下記に適正意見の文例を載せますので、希望の会社の監査報告書をチェックしてみて下さい。

<財務諸表監査>

・・・・

監査意見

当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、○○株式会社及び連結子会社の平成x年x月x日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況をすべての重要な点において適正に表示しているものと認める。

OR

監査意見

当監査法人は、上記の連結財務諸表が、国際会計基準に準拠して、○○株式会社及び連結子会社の平成×年×月×日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況をすべての重要な点において適正に表示しているものと認める。

<内部統制監査>

・・・・

監査意見

当監査法人は、○○株式会社が平成○年○月○日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、すべての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

強調事項の見方

監査意見部分を見終えたら、次に強調事項に進みましょう。

 

強調事項とは

「強調事項」とは、監査人が有価証券報告書から特に重要であると判断した事項を抽出したもので、ある意味、監査人から「有価証券報告書のここが重要だから必ず読めよ!」というメッセージが書いてある場所です。

「強調事項」に何もない会社は特に問題ありませんが、この記載がある場合、必ず内容を読んでおいた方がいいでしょう。

 

強調事項で記載されること

強調事項に記載される事は決まっているわけではありませんが、主に以下の4つの項目がある場合は記載されます。

①継続企業前提に関する事項:会社が今後1年間存続することに確実性がない場合
②重要な偶発債務:重要な訴訟による不確実性がある場合等
③重要な後発事象:決算日後に起こった重要事項
④会計方針の変更:会計処理方針を変更した場合等

このうち、①と②については、会社の安定性に影響を与える可能性があるので、必ずチェックしておきたいポイントです。

 

継続企業の前提に関する強調事項

強調事項に、「継続企業の前提に関する事項」の記載があるかどうかは、会社の安定性を図る意味で必ずチェックしておきたいポイントです。

継続企業の前提に関する事項とは、会社が今後1年間存続することに確実性がない場合に記載が必要となるものです。

(詳細は「就職活動生・転職者がチェックすべき有価証券報告書の5つのポイント」をご参照下さい)

 

会社に継続企業の前提に不確実性がある場合、「継続企業の前提に関する事項に記載されているとおり」といった文章から始まる、下記の様な記載がなされます。

<例:スカイマーク株式会社 平成26年9月期 四半期レビュー報告書より一部抜粋、ハイライト加工>
(直近の四半期報告書のレビュー報告書の例から抜粋しています)

強調事項

1.継続企業の前提に関する事項に記載されているとおり、会社は、当第2四半期累計期間において営業損失及び四半期純損失を計上したこと、また、これまでエアバスA380型機等の導入作業に多額の支出を要したこと等から、現金預金残高が減少傾向にあり、今後の資金繰りに十分な余裕を確保できなくなる可能性がある。当該状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しており、現時点では継続企業に関する重要な不確実性が認められる。なお、当該状況に対する対応策及び重要な不確実性が認められる理由については当該注記に記載されている。四半期財務諸表は継続企業を前提として作成されており、このような不確実性の影響は四半期財務諸表には反映されていない。

2.継続企業の前提に関する事項に記載されているとおり、会社は、エアバス社と締結した計6機のA380型機の購入契約について、エアバス社から平成26年7月25日に当概契約についての解除、および多額の解約違約金の支払い通知を受けている。当該金額の減額についてはエアバス社と交渉を継続中である。また、会社は、支払済のA380型機に係る建設仮勘定の回収についても交渉を継続中である。解約違約金の支払いおよび建設仮勘定の回収可能性は、当該交渉に左右されることになる。当該状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しており、現時点では継続企業に関する重要な不確実性が認められる。なお、当該状況に対する対応策及び重要な不確実性が認められる理由については当該注記に記載されている。四半期財務諸表は継続企業を前提として作成されており、このような不確実性の影響は四半期財務諸表には反映されていない。

強調事項に「継続企業の前提に関する事項」等が含まれているかどうかを注意してみるようにしましょう。

 

偶発債務に関する強調事項

会社が大きな訴訟を抱えている場合、重要な偶発債務に関する強調事項が記載される場合があります。

仮に巨額の損害賠償を支払う旨の判決を受けた場合、会社の安定性に影響を与えることがありますので、必ずチェックしておきたいポイントです。
会社が大きな訴訟を抱えている場合、「偶発債務に記載されているとおり」といった文章から始まる、下記の様な記載がなされます。

<例:タカタ株式会社 平成26年9月期 四半期レビュー報告書より一部抜粋、ハイライト加工>

強調事項

注記事項(四半期連結貸借対照表関係)の偶発債務に記載されているとおり、会社の米国子会社が過去に製造したエアバッグ製品の一部の不具合に関連して、客先が市場回収処置の届出を行ったことを受け、会社は現時点で合理的な見積りが可能な範囲において、製品保証引当金を見積り計上している。見積り計上した金額以上の負担の有無及びその金額を現時点で予測することはできないが、現在会社は客先と調査中である。また、当該市場回収処置に関連して、会社及び会社の米国子会社は、自動車メーカーと共同して、米国において複数の集団訴訟の提起を受けている。さらに、会社の米国子会社は、米国ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所の連邦大陪審からエアバッグ製品の不具合等に関する書類を提出することを求める召喚令状を、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)から上記に関する書類を提出することを求める命令をそれぞれ受領した。現時点では損害賠償等の発生可能性及びその金額を合理的に見積もることは困難である。これらに関する今後の展開によっては、会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。

強調事項に「偶発債務に関する事項」等が含まれているかどうかを注意してみるようにしましょう。

 

最後に

今回は就活生・転職者が必ず知っておきたい監査報告書の見方就職活動生・転職者がチェックすべき有価証券報告書の5つのポイントを紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

監査報告書の特に強調事項は、監査人からのメッセージが記載されており、就活生や転職者にとって役立つ情報が記載されていますので、是非、活用してみて下さい。

 - 有価証券報告書の使い方

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