企業研究物語: ④安室の婚活
2014/12/24
「私、実は今、婚活真っ最中なの!それで遼太君からもアドバイスが欲しいのよ。」
「え~~~っ!でも、僕は女性とお付き合いしたこともないですし、、、、」
恋愛もろくにしたことのない自分にとって、婚活は最も難しいアドバイスだ。
「うん。そうだとは思った。でも、いいの、いいの、想像で。想像をもとに答えてくれればそれでいいの。」
安室には、自分が年齢=彼女いない歴であることを見透かされていた。
ただ、それでもアドバイスをくれと言われるならばやってやろうじゃないか。
何を隠そう、自分は全く女子に縁がなかったわけではない。大学生のクラスメイトと少しいい関係になりかけた事がある、いわば惜しいところまでいっているのだ。そこら辺の『年齢=彼女いない歴』共とは、全く次元が違うのだ。舐めるでない。
そう思って、安室の提案を快諾した。
「じゃあ、私が結婚相手に求める条件を聞いてくれる?この条件で相手を探しているんだけど、なかなかいい相手がみつからないのよ。」
安室は結婚相手に求める条件を話し始めた。
「結婚て一生続くものなのじゃない?だから、外見も必要だけれども、やっぱりその人を好きになれるかどうかが重要よね。それに、、、経済力という条件は欠かせないわね!安定した職業で高給とりの人がいいわぁ〜。あとは、、、、お互いがおじいちゃんやおばあちゃんになっても、仲良く笑って暮らせる人というのが何よりも、一番重要なポイントよね!」
安室はまるで女子大生の様にキャピキャピして語った。婚活初期の女子が、相手に求める条件のベスト5が全て入っているのではないだろうか。条件がありすぎて、これを満たす人はなかなかいないであろう。仮にこの条件を全て満たす人がいたとしても、倍率が高すぎる。
僕はそう思い、
「あの〜。なんだか、条件が多いような気がします。もう少し、相手に求めることを絞った方がいいと思いますよ。」
気の利いたアドバイスをしたつもりだった。
「え〜、でも、どの条件も捨てられないっていうか〜、やっぱり、結婚て一生に一度のものだし〜、これ位欲張ってもいいっていうか〜。」
条件ばかりを厳しくしすぎると、逆に自分にあった相手を逃す可能性もある。僕は語気を少し強めて安室にいった。
「そんなんじゃあ、一生たっても結婚できませんねっ!もっと努力して、少し位条件に合わない人とでも、会ってたくさん話をした方がいいと思いますよ!」
「えっっ、でも私、結婚相談所にたくさんお金をつぎ込んだし、絶対、条件は譲りたくないのよ!」
安室が本気で婚活に悩んでいるのならば、男性に対してもう少し広い心でみてあげて欲しいと思った。多くの男性は完璧ではなく欠点も多い存在なのだ。欠点のない男などいないに等しい。
「そんな条件さっさと諦めて、少しでも気になる人がいたら、どんどんデートしたり付き合ったりして、多くの経験をつんだ方がいいと思います。そのうち、いい人がきっと見つかりますよ。」
「そんなぁ〜、親とか親戚とか、早く結婚した友人とかにも、自慢できる人じゃなきゃ、、、、、」
安室はまだ、先程の条件にこだわっているようだ。
「親とか親戚とか友人とかに自慢できる人を選ぶってなんか変ですよ。安室さん自身の結婚なんだから、周りからの評価ではなくて、自分が納得する人をえらばなきゃ。」
諭すように言った僕の言葉に、安室はもはや言い返す事ができないでいた。ふてくされて、壁の隅を見つめている。
安室は就職活動の講師として僕の家にやってきたのに、今はなぜか僕が安室の婚活の講師となっている。立場逆転、そう思っていた時だった。
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